海外との交流

スウェーデンとの交流

当事者ペースはゆっくりペースで

  • パンジーに来たトミー(中央)とアンデシュ(右)
  • きびしい指摘をうける
    2000年、創思苑の7年間の活動の総括と、今後の方針を考えるためのシンポジウムを開催しました。当時立教大学の教員であった河東田博さんに特別提起をお願いしたところ、パンジーの活動を2日間かけて見学し、立ち上げからの資料を読んで、下記を主体に提起してくださいました。それは「パンジーの活動はピープルファーストにかなった取り組みになっているのか」と「パンジーのめざしてきたものが職員間で共有化されているのか」といったものです。
    その内容はかなり厳しく、私は以下のように理解しました。
ピープルファーストをめざすのなら、メンバーとスタッフの関係や組織のあり方を大きく変える必要がある。
シンポジウムで当事者が「かってに決めるな!」と発言したように、現時点では当事者と職員の立場を超えられていない。
活動を進めるにあたり、当事者と職員の立場の違いを明確にするのが前提となる。言い換えれば、「足元を固めなさい。それをしないと、いくらがんばっても危うい。足元を固めると、しっかりと根づく」
  • グルンデン協会から学ぶ
    河東田さんいわく「グルンデン協会では親や職員の力から逃れたいという当事者の思いを支援者が受け止めました。当事者が支援者と共に親の会や施設職員に息の長い働きかけを続けた結果、当事者が主体となる理事会を作ることができました。知的障害と言われている人たちがボスになったのです。このことは、パンジーがピープルファースト的な取り組みを展開するモデルになるでしょう」。
     
    そして、私たちは2001年、知的障害者4名と支援者13名でスウェーデンのグルンデン協会へ研修に行きました。日中活動や理事会を見学し、理事長のハンス、理事のアンナ、支援者のアンデシュたちと意見交換をしました。当事者主体とはゆっくりペースであることを学びました。それは「当事者が自分たちで考えて活動できるよう、情報提供を工夫すること。また、たくさん話し合うことによって、当事者のエンパワメントをめざすこと」だと考えました。 この学びは、その後の創思苑に大きな転機をもたらし、当事者中心に話し合う「かえる会」の活動や、当事者の事務所の設立につながりました。
     
    グルンデン協会とはその後も交流が続き、2002年には当事者のトミーと支援者のアンデシュが創思苑を訪れたり、2013年の「ピープルファースト大会in大阪」に招いたりと、お互いに学びあえる関係を築いています。
  • グルンデン協会
2001年、グルンデン協会視察の感想
  • グルンデン協会のみんなと
  • スウェーデンに負けてるなあ

    スウェーデンではまず、元入所施設を見学しました。この国には、もう入所施設は一つもなく、見学先は会議室や老人ホーム、一般住宅として利用されていました。日本にも入所施設はいらないと思うので、ピープルファーストの仲間などに伝えていきたいです。グループホームは、日本と違ってとても広くてきれい。キッチンやベッド、トイレ、風呂も1人に1つずつあり、うらやましく思いました。当事者が注文を取り、コーヒーを入れ、バイクでの配達なども行う喫茶店では、注文票やメニューに写真や絵や大きな文字が使われていました。しかも週2回の営業なので、いろんな事がゆっくり話し合えると思います。パンジーでも見ならいたいですが、お客さんも大切なので休むわけにはいかず、どうしたらいいのだろうと考えています。 当事者が当事者向けのテレビ・ラジオ番組や新聞を作る「グルンデンメディア」も見学しました。カメラ撮影やインタビューまで当事者が行っていて、難しそうでしたが、パンジーでもやってみたいと思います(※現在、パンジーメディアとしてオンエア中)。スウェーデンに行ってみて、日本は負けていると感じました。追いつくには時間がかかりそうですが、そうなったらいいなぁと思います。
    かえる会
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