好きになりなさい

パンジーが開所して二十年がたちました。振り返ると、さまざまな出来事があり、それらの出来事に呼応するように創思苑は立ち止まったり、大きく回り道をしながら今を迎えました。そして、私は、関わりの困難な当事者とどう付き合ったらいいかを悩んでいる職員に、「その人を好きになりなさい」と、開所当初と同じ言葉で伝えようとしていることに気づきました。あたかも、大きい円を一周して再び原点に戻ったようです。

知的障害を持つ人たちとの関わりは、「一人の人間としての」、「当たり前な」、「障害特性に応じた」、「自閉症としての」など、さまざまな表現やスキルとして語られます。しかし、私は「その人を好きになること」がすべての前提だと改めて思い始めました。好きになったら、その人をもっと知りたいと思いますし、その人が自閉症だったら、自閉症についてもっと知りたいと思います。反面、自閉症から入ると行動特性や問題行動に目がいって、その人をどうにかしようと思いがちです。そこには、心が通い合わない危険性をはらむことがあります。改めて、原点に戻って、何が大切かを伝えていきたいと思います。

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