「強度行動障害」があっても地域で生活を
地域福祉情報誌『うえすとさいど』に、千頭さんのプロジェクトのことが掲載されました。
以下、冒頭の文章を一部紹介いたします。
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「自分の体を傷つけ、他人に乱暴する、ものを壊す、大声を発し、突発的な行動に出るーといった「強度行動障害」のあるひとが地域で生活するには、本人や周囲がどんな準備をし、どんな仕組みが必要なのか。そのモデルケースとして、2022年度から「地域移行プロジェクト」がスタートしました。
<中略>
にこやかな表情で一人暮らしをはじめるまでになったのは、プロジェクトの大きな成果といえます。一方で課題も見えてきました。2年間の経過と参加したひとたちの想いや課題について語ってもらいました。」
『うえすとさいど』より
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創思苑では、千頭さんの一人暮らしを支援して9月で1年になります。
千頭さんは今では支援者と身振り手振りで自分の感情を伝え合い、休日は電車に乗って外出し、お店で自分の好きな物を注文して、食事ができるようになりました。
今、日本には12万人の知的障害のある人が入所施設でくらしています。中には、何十年もくらしている人もいます。そして、入所施設やグループホームなどでの虐待件数は、高齢者施設の7倍以上もあります。その中でも、知的障害のある人が最も多く虐待を受けています。強度行動障害を併せ持つと言われている知的障害のある人も、元をたどれば、自分の要求を理解してもらえなかったことが、暴力につながった可能性は少なくありません。虐待を受けたストレスが原因で要求が増え、虐待の引き金になる。そんな負の連鎖を断ち切るために今、必要なことは何か?
それは、一人ひとりにあった支援の制度を作ることです。国が進めようとしている「強度行動障害のある人はグループホームへ」との方針は、見直すべきです。今グループホームでも虐待が多い場所になっています。まず様々なくらし方を考えること。そして一人ひとりに合わせた支援の制度を構築することが重要です。
一人でも多くの人が入所施設を出て地域でくらすための取り組みが広がり、やがては入所施設がなくなることを願っています。(林 淑美)
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『うえすとさいど』はこちらから。