地域をつくる
相談支援で二年ほど前から関わっている知的障害のあるYさんは、精神障害のある姉と高齢の母の三人暮らしだったが、母は認知症が進み一年前に施設入所になった。
残された姉弟は金銭管理もままならず、たびたび電気を止められかけた。毎朝玄関先に水を大量に撒いたり、通学途中の小学生をずっと眺めていたりするYさんの行動に、近所の人たちは不安を感じ、「火の不始末があったらどうするのか」「施設に入ったら」とアドバイスをしてくる人もおり、二人の地域生活は危ぶまれた。
そんな中近所のSさんが、ゴミだしの声掛けや、夕食のおかずを持っていくなど何かと関わってくれた。
Yさん達は現在、ヘルパーを利用し、生活を維持することができている。
Yさんの住む地域では今、誰もが気軽に相談できる「コミュニティーカフェ」を作ろうという動きがある。
地域コーディネーターや保健師さん、絵本の読み聞かせボランティアなど、肩書きはあってもなくても「地域のために」と手弁当で集まっている。「顔の見える関係作り、地域作り」をテーマに、多様な人たちが共存し、誰もが安心してつながろうとしている地域のなかに、Y家の人たちの居場所もきっとあるだろう。地域で生きていく。そんな彼の意志をこれからも支えていきたい。 (梅本)