猫が心配で

高齢でひとり暮らしをされているAさん。約10年前に、夜逃げした工場に取り残されたことをきっかけに関わりが始まりました。「自宅で生活したい」という思いがとても強く、家事ヘルパーを利用して生活しています。猫好きで、自宅に遊びにくる猫の世話がなによりの楽しみです。ベランダでは見事なダイコンやカブを育て、自分で漬け物にしています。

3年ほど前に、内臓疾患が見つかり、余命宣告をされました。処置のため、ときどき入院が必要ですが断固拒否し、なんとか入院しても2日ほどでしびれを切らし、ふらふらなのに「帰ります!」と歩き出してしまいます。体調が悪くても言うことを聞いてくれないAさんに困りながらも、Aさんがこだわる生活をできるだけ実現したいという気持ちで関わっています。

Aさんの体調が崩れるたびに、グループホームやケア付き住宅を考えられないか、階段がある今の家から別の場所に引っ越せないか、でもAさんはそんなことは望まないだろう、余命を考えると今から変える必要があるのか等、関係者間で何度話し合っても結局は「Aさんが望む生活を支援しよう」に辿り着きます。Aさんの「自分の家で」という思いはそれだけ強いんだと思います。

今は毎日ヘルパーや訪問看護が入ることで生活を維持しています。余命と言われた期間を超え、夜間など長時間誰もいないときに何かあったらという不安は常にありますが、できるだけ長く、できる限りAさんが望む生活を続けてほしいと思っています。(下川)