問題行動とRDI

ガイド関係発達研究会主催 第4回実践報告会&講座
「問題行動とRDI」

*プログラム*
① 講座「RDI からみた問題行動の捉え方」    RDI認定コンサルタント: 池下沙祐里

② 大人の実践報告「経験共有からモチベーションへ ~カルタを使った取り組み~」
パンジーⅢ: 明石雅光

③ 子どもの実践報告「心が通じ合ってきたよ」   保護者

④ ケース検討会「重度の自閉症の人のケースについて」

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今回のテーマは、これまでの参加者からのアンケート結果で意見の多かった、問題行動やこだわりについての講座と実践報告が行われました。

前半はRDI認定コンサルタント池下沙祐里さんによる、「RDIから見た問題行動の捉え方」についての講座でした。

これまでの療育では【変化のない生活にしてパニックを減らそう】と言う考えだったのに対し、RDIの発想では【世の中に変化があるのは当然。時にはその変化すら楽しんで】という考え方をする。また、【指示を理解して従えるように】ではなく、【時には指示に逆らえるように】という発想で、本人の意思決定と自発的に楽しむことを大事にして取り組んでいくという話がありました。

実践のビデオでは、ボール投げに乗り気でない様子の子どもに、指示するのではなく支援者がひとり言のように「何々しようかなぁ」と口に出す様子がありました。そうする事で本人が自分で考えて行動することを引き出す関わりを実践している内容でした。

プログラム2つ目は、経験共有からモチベーションへ繋げる事を目指し、カルタを使った経験共有の取り組みをする大人の実践報告が紹介されました。

取り組みのビデオを撮り始めた最初の頃は、支援者がむやみに褒めたり、やらせているという印象が感じられるものでしたが、少しずつ支援者の関わり方を変えていく実践の様子が紹介されました。支援者が「〇〇が名産の都道府県はどこだったかなぁ?」とひとり言のようにつぶやくと、当事者Ⅰさんがカルタを見て自発的に答えるように変わっていく様子が映像にはありました。

プログラム3つ目は、自閉症の子どもとお母さんによる、非言語コミュニケーションを用いた取り組みから、お子さんが自分で考える力を引き出していく実践報告の様子が紹介されました。取り組みのビデオは、親子で人生ゲームをしている際に子どもがせっかくお母さんの方を見て参照しているのに、お母さんがお金の計算方法を説明したことで、子どもはその後一人で準備を進めてしまったという場面がありました。

再チャレンジのビデオでは、母親ができる限り言葉を出さずに、非言語コミュニケーションを用いての関わりが実践されていました。母親から言葉での説明がない事でお子さんは戸惑っている様子はありながらも、母親の表情や身振りをよく参照し、指差しのヒントを見つけてやる気を出していく様子がビデオの中にはありました。

プログラム最後では、重度の自閉症の人のケース検討会が行われました。当事者Tさんの紹介、続いて問題行動から現在支援の上で困っていることが紹介されました。

グループに分かれてのディスカッションでは、様々な意見が交わされました。

Tさんの苦手な部分にチャレンジしたこと、また支援者側もこれまで気付けていなかったTさんの特性や関わり方を改善したことが良い結果に繋がった。大事なことは、なぜそういう行動をするのか?を考えること。不安や注意引きなど1つ1つ理由を考えていくと、答えを引き出せることがあるという話がありました。

大きく変化させるのではなく、少しの変化、ハードルを上げ過ぎず、当事者本人そして支援者のモチベーションに繋げて継続することが大切。問題行動だけを見るのではなく、その人を見ることで問題行動がなくなるという事を実感できたという報告でした。

今回レポートを担当していて感じたことは、支援者側の意識を変えてみること、マインドフルになる必要があるのは支援者の方だということでした。

また取り組みとは違う場面で、今まで視線が合わなかった当事者がこちらを見て笑うことがあったという話や、他の人に興味を持つようになってきたという報告が寄せられていました。こういったところに、考える力やモチベーションを引き出すという取り組みが活きてくるのだと実感しました。

レポート:北田 徹

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