入所施設から地域へ。地域生活支援への思い
障害児入所施設を年齢超過で出ることになった18歳のYさん。この4月からパンジーのグループホームと日中の場に通うことになりました。 Yさんの環境がガラッと変わりました。今まで慣れ親しんだ場所と違う・・。本人がそれを実感したのは3日後。前の施設の名前を大声で叫び、とても混乱していました。私達ができる事はただ寄り添い、そばにいる事でした。 慣れてくるに従い、いろんなことが起こりました。Yさんは紙に気に入ったアイドルの名前などを書くのが好きです。うまく書けないと、紙をくちゃくちゃっと丸めて捨て、新しく「紙をください!」と言ってきます。要求が通らないと声が大きくなり、頭を床に強く打ちつけました。逆に言われるままに渡し続けると1晩に60枚の要求があり、それでもYさんは満足しませんでした。 介護者を振り切ってグループホームを飛び出すことが続き、大きな声に反応した住民に警察に通報されたこともありました。準備期間がなく、これまで地域移行を支えてきた人のようにはいきませんでした。 私たちがおたおたしているとき、理事長から「職員はどうしたいの?」という問いかけがありました。Yさんが地域で暮らすことを支えるのか、それとも入所施設に行ってもらうのか。ひとりの女性の人生がかかっています。入所施設ではなく、地域での暮らしを何としても支えたい。職員全員で地域生活を支えることを決めました。 それからは、Yさんへの支援が変わりました。 まずはグループホームで外に飛び出さないことと、Yさんが安心して暮らせることめざしました。介護者の体制を2人にし、女性だけで介護体制が組めない週末は、男性の職員が近くの施設に待機し、何かありそうだったら、すぐに駆け付けました。そして、Yさんが生活の見通しが立てられるよう、工夫しながら丁寧にいろんなことを伝えていきました。 Yさんは落ち着いていき、外に飛び出そうとすることはなくなりました。大きな声で叫ぶことも減りました。 Yさんの行動を振り返ると、行動が激しくなるには理由があること、前もって予定を伝えておく事で、落ち着く事がわかってきました。こんなに難しい人をどうやって支援していくのか、先が見えなかった私たちに、支援の方向が見えてきました。 Yさんは、職員を少しずつ信用してくれているようです。職員が伝えたことに嘘はないと思ってくれているようです。私はYさんに成長させられたなあ!と思います。これからも、18歳のYさんと一緒に成長していきたいと思っています。(岩村)