話しかけたいと思われるような支援者になりたい

パンジーⅢに通所している寺戸さんは、いつも黒ジャケットに、黒パンツを着て全身を黒で覆っています。そして、一緒に作業をしていても、私が少し席を離れると、もうそこに姿はありません。まるで忍者のようです。  最近は、表さんや山田さんが、「1階でタバコ吸ってたよ」と教えてくれ、声をかけにいくと、必ず、すれ違ってしまいます。まるでこちらの動きを見ているのかのようです。  私は作業をしてくれない寺戸さんにオロオロしてしまいました。さて、どうしたものか・・・。どう接したらいいんだろう? 私は、周りの職員に相談しました。 職員と話をする中で、寺戸さん行きつけの喫茶店があったり、ウォーキング中に周りの人と楽しそうにしていること、他の職員には寺戸さんの方から話しかけていることなど、私が知らない寺戸さんがたくさんいました。  私はいつも寺戸さんに自分から話しかけます、しかも軽作業の話ばかり。つまらなかったと思います。  寺戸さんから話しかけてもらえるように待ちました。作業に誘いかけるのもグッとこらえました。何日かしたとき、寺戸さんは唐突に、一人暮らしをしていた時のことを話してくれました。私は寺戸さんから話しかけられて本当に嬉しかったです。  私は、寺戸さんや、他の当事者から、話しかけたいと思われるような支援者になりたいと思いました。(赤川)